突然腹痛が生じ、その後下痢、血便がみられれば、虚血性大腸炎の可能性があります。
虚血性大腸炎は、大腸に栄養を送っている血管に一時的に血流がいかなくなることで起こります。血流が遮断された腸の粘膜は、むくみ、炎症を起こすことで、腹痛、下痢、血便といった症状をきたします。
虚血性大腸炎は、従来高齢者に多いとされてきましたが、近年若年者での発症もしばしばみられるということが分かってきました。
原因としては以下のものが挙げられます。
①高血圧や糖尿病、脂質異常症といった動脈硬化性疾患のある方
②便秘
③虚血性心疾患や不整脈などの心臓疾患のある方
④激しい運動
⑤痛み止めや経口避妊薬などの服用
ただ、実際には明らかな原因がはっきりしないこともしばしばあります。
問診や診察から虚血性大腸炎を疑った際は、血液検査で炎症の程度を確認し、大腸内視鏡検査で診断を確定します。
治療としては、腸を安静にすることが大事です。つまり、食事を控えて、脱水を予防するために水分の摂取のみで経過をみます。数日で腹痛や血便がなくなり、少しずつ普段の食事に戻していきます。1〜2週間で腸の粘膜が修復されることがほとんどですが、症状が強く、炎症の程度が激しい場合には、入院や抗生物質での治療が必要になることもあります。
良性の病気ですが、約10%の方で再発すると言われています。排便の習慣をつけて、再発の予防に努めましょう。
突然腹痛が生じて、下痢、血便を認めるようであれば、虚血性大腸炎の可能性がありますので、消化器内科を受診してください。