大腸がん検診 便潜血検査

便潜血検査とは?

便潜血検査とは、便に血液が混入しているかどうかをチェックするスクリーニング検査のことです。見た目では出血がなくても、検査をすると血液が検出される状態を「潜血」と呼んでいます。大腸がんの表面は出血しやすいので、便が大腸のがんがある部分を通過すると、便とがんの表面がこすれて出血します。

大腸がん検診

大腸がん検診の目的は早期発見です。大腸がんは早期に発見すれば90%以上、完全に治すこと(治癒)ができます。しかし、早期には自覚症状はないことが多く、便秘や下痢、便が細くなるといった自覚症状が現れた時には既に進行している可能性があります。ですので、症状のない時にこそ、年に一度定期的に大腸がん検診を受け、早い段階で大腸がんを発見し、適切な治療を受けることが大切です。また、40歳以上の方が毎年、大腸がん検診を受けることで、大腸がんによって死亡する確率を約60~80%減らすことができるという報告もあります。

具体的には、大腸がん検診では、便潜血検査を行い、陽性(大腸がんの疑いあり)と判定された場合、詳しく調べる精密検査を行います。陰性(異常なし)と判定された場合は、精密検査は行わず、1年後にまた大腸がん検診で便潜血検査を行います。

精密検査では、大腸カメラ(大腸内視鏡)検査を行います。

便潜血陽性と言われたら?

便潜血検査は通常2回検査を行います。2回のうち2回ともあるいは1回でも陽性の場合は大腸カメラ(大腸内視鏡)検査による精密検査が必要です。

便潜血検査で陽性になるのは、検査を受けた方の約6~7%です。そのうち、精密検査を受けた方の中で、大腸がん(早期も含む)が見つかるのは約4%とされており、放っておくとがん化する可能性のある大腸腺腫などの病変が見つかる確率は約70%と言われています。つまり、便潜血陽性であっても必ずしも大腸がんであるとは限りませんが、治療を要するような何らかの病気である可能性が高いと考えられます。

便潜血陰性であれば大丈夫?

便潜血検査が陰性だったとしても、大腸がんではないと断言はできません。進行大腸がんがあった場合でも、必ず陽性になるわけではなく、10~20%は陰性になってしまいます。大腸がんは常に出血しているわけではないので、本当は大腸がんであるのに検査では陰性にでてしまう(偽陰性)場合があるためです。ですが、現状便潜血検査を上回る簡易な検査はなく、便潜血検査は、トイレの際にご自身の便の一部を採取して提出いただくのみで検査でき、体への負担のない検査です。ですので、陰性と判定された場合でも、病気の早期発見のために、便潜血検査を毎年受けることが大切です。また、検査が陰性であっても、下痢、便秘、便が細いなどの便通の異常、便に血が混じるなどの自覚症状がある場合は、医療機関を受診し、大腸カメラ(大腸内視鏡)検査のご相談をされてください。

Author: ひろ消化器内科クリニック