ピロリ菌について

皆さん、「ピロリ菌」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか?

テレビや雑誌等で一度は聞いたことがある方が多いかもしれません。

ピロリ菌は、井戸水や土壌にいる細菌です。

どのようにして感染するかについては、まだはっきりとは分かっていませんが、次の2つが主な感染経路と考えられています。

①ピロリ菌に汚染された水を飲むこと

②ピロリ菌に感染している親などから子供への食べ物の口移し

上記①については、近年衛生環境が整ったことにより、若い世代の感染率は下がっています。とはいえ、ピロリ菌に感染している日本人は今でも3000万人以上いると言われています。特に50歳以上の方の感染率は50〜80%で、高齢者ほど効率です。

では、ピロリ菌はいつ感染するのでしょう?

それは、5歳ぐらいまでの免疫力が十分ではない時期に感染します。そして、その後何十年も胃の中に生息し続けます。大人になってから感染する可能性は0ではありませんが、基本的にはないと考えられています。

ピロリ菌がメディア等でも取り上げられ、問題になっているのは、ピロリ菌が胃がんの原因になるためです。胃がんの原因の99%はピロリ菌と言われています。また、ピロリ菌に感染している方の約5〜6%に胃がんが発症すると考えられています。

ピロリ菌を除菌することで、胃がんの発生率を3分の1に抑えることができたという報告もあります。ですので、ピロリ菌がいると分かった方は、除菌治療を受けることをおすすめします。

ピロリ菌の除菌治療は、2種類の抗生物質と1種類の胃薬を1週間、1日2回朝夕の食後に内服します。その後1〜2ヶ月経ったら、「尿素呼気試験」という検査で除菌できたかどうかを判定します。

1回目の治療で除菌に成功する確率は80〜90%と言われています。1回目の治療で除菌に成功しなければ、抗生物質の1種類を変更し、2回目の除菌治療を行います。

現状、2回目の除菌治療まで保険がききますが、3回目の治療は自費になります。ですので、2回目の除菌治療を行ってもピロリ菌を除菌できなかった方は、3回目の治療については応相談になります。

ピロリ菌の除菌に成功すると、胃がんの発生率は抑えることができますが、胃がんにならないわけではないので、その後も1年に1回の胃カメラ検査をおすすめしています。

次のような方は、消化器内科の受診をおすすめします。

○胃の調子があまり良くないが、胃カメラ検査やピロリ菌の検査をしたことがない

○健診でピロリ菌がいると言われた

○家族にピロリ菌陽性と言われた方がいる

Author: ひろ消化器内科クリニック