大腸カメラ検査について
「大腸カメラの検査は、痛いという話をよく聞きます。」「以前検査をしてとても痛かったので、もう受けたくないです。」
このように仰られる患者さんがいらっしゃいます。
大腸カメラの挿入には、高い技術が必要です。グネグネ曲がった腸に、まっすぐなカメラが入っていきますので、曲がり角のところやカメラが通過しているところで不快感がでることはあります。
また、腸の走行を把握するために空気を入れながらカメラを進めると、お腹が張り、カメラで腸が押され、痛みを伴います。
そのため、当院では「無送気軸保持短縮法」による大腸カメラ検査を行っています。
無送気軸保持短縮法とは
・大腸カメラ検査の終点である盲腸まで挿入する際に空気を入れない
・腸を短縮しながら直線的に挿入する
・腸が無理に伸びることがなく、苦痛が少なく安全である
そして、その上に、当院では、初めて検査を受けられる方や以前検査で痛みがあった患者さんには、少量の鎮静剤の使用をおすすめし、検査に対する不安や緊張を取り除いています。
これに対し、従来行われている「ループ挿入法」では、空気を入れながら腸の形に沿って内視鏡を押し込んでいくので、必然的に腸を伸ばすことになり、腸がつっぱって痛みを感じます。なので、どうしても鎮静剤の使用量が多くなりがちです。
下剤について
大腸カメラ検査自体の所要時間は、10分〜15分程度です。ですが、検査の前の準備をしっかり行う必要があり、その準備に時間がかかります。
大腸にはもともとたくさんの便があります。検査で腸を観察するためには、便をすべて出しきらなくてはなりません。
ですから、下剤を服用して、腸をきれいにする準備が必要になります。
具体的には、当院では、検査前日の夜に2錠下剤を飲んでいただき、当日朝から専用の下剤を服用していただきます。
大腸カメラ検査の必要性
では、なぜここまでして大腸カメラ検査が必要なのでしょうか?
それは、「大腸がんが増えてきているから」です。
日本で1年間に新たに大腸がんと診断された人数(罹患数)は、2016年では男性は約9万人、女性は約7万人です。
臓器別にみると、大腸がんは男性では胃がん、前立腺がんに次いで3番目に、女性では乳がんに次いで2番目に多いがんです。
また、臓器別のがん死亡者数でみると、男性では肺がん、胃がんに次いで3番目に、女性では1番多いがんです。
では、大腸がんは治りにくい病気かというと、そうではありません。大腸がんは、進行が遅く、他の臓器に転移しても切除可能といった特徴があり、治る可能性の高いがんと言われています。早期であれば90%以上完治(完全に治すこと)できます。
ですが、大腸がんは早期の段階では、症状を自覚することがありません。
早期に発見するために、大腸がんにかかる人が増えると言われている40歳以上の方は定期的に大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。