皆さん、健康診断で「肝機能が異常なので、精密検査を受けてください。」と指摘されたことはないでしょうか。
そもそも、健康診断、人間ドックで、どのくらいの方が異常を指摘されているのでしょうか?
http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2016/005586.php
こちらは、人間ドック学会から報告された、2015年度の集計結果です。
「異常なし」と判定された方の割合はわずか5.6%です。ほとんどの方が何かしらの異常を指摘されています。
肝機能障害を指摘される方はとても多く、全受診者の25%にのぼると言われています。
つまり、4人に1人は肝機能障害を指摘されていることになります。
肝臓は、「沈黙の臓器」と言われるように、ひどくならないと症状がでません。症状がなくても、健康診断や人間ドックで肝機能障害を指摘された際には、原因を判明させるためにも、再検査、精密検査を受けることをおすすめします。
では、肝機能障害の原因としてはどのような疾患が多いのでしょうか?
①脂肪肝
原因として一番多いです。
肝臓に中性脂肪が蓄積した状態です。
脂肪肝は、アルコールが原因の「アルコール性脂肪肝」と、アルコールには無関係の肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が原因で起こる「非アルコール性脂肪肝」に分けられます。
脂肪肝の中には、慢性肝炎から、肝硬変、肝臓がんに進行することもあります。飲酒をしない方でも、このような経過をたどることがあると言われています。
アルコールが原因の場合は、禁酒の指導が行われます。肝硬変になる前であれば、肝臓は元に戻ります。
肥満や生活習慣病が原因の場合は、「過食・偏食をさける」「適度な運動」「減量」が治療の基本となります。
②ウイルス性肝炎
ウイルス性肝炎のなかで、患者数が多く慢性肝炎の原因になるのがB型肝炎とC型肝炎です。
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスが血液・体液を介して感染して起きます。
C型肝炎は、感染者の血液を介して感染します。
B型肝炎では、ウイルスの増殖を抑える注射や薬の内服が必要です。
C型肝炎では、ウイルスを退治する抗ウイルス薬の内服が必要です。
健康診断や人間ドックで、肝機能障害を指摘された場合は、消化器内科を受診して、詳しい検査を受けるようにしてください。