皆さん、大腸カメラ(大腸内視鏡)検査をして、「憩室があります」と言われたことはないですか?
大腸憩室とは、大腸の壁が腸の外側にむかって袋状にとびだしている状態のことです。
大腸の内側から内視鏡でみると、くぼみとして確認できます。
大腸憩室は、大腸カメラ検査をされた方の約10%にみつかると言われており、珍しい病気ではありません。
大腸に限らず、食道、胃、十二指腸、小腸にもできますが、大腸にできることが一番多いです。
大腸憩室には、先天性の憩室と後天性の憩室がありますが、ほとんど後天性のもので、ご高齢の方にみられることが多いです。
原因としては、以下のものが考えられます。
①大腸内圧の上昇
②腸管壁の脆弱化
近年の食生活の欧米化とともに、肉食が多くなり食物繊維の摂取量が少ないと、便秘になりやすく、便を出すときにふんばって、いきむことで、大腸内圧が上昇し、腸管壁の弱い部分が押し出されて憩室ができます。
大腸憩室症の約70%は無症状のまま経過しますが、時に腹痛、腹部膨満、便通異常(下痢、便秘)などの症状をきたします。
また、憩室に便がはまり込むことで、細菌が繁殖し、炎症を起こすこと(憩室炎)や、薄くなった壁に圧がかかると出血すること(憩室出血)があります。
症状や診察所見から、憩室炎を疑った際には、血液検査やCT検査、腹部エコー検査を行い診断を確定します。
治療は、食事制限、抗生物質の内服や点滴を行います。
下血を伴っている場合(憩室出血)は、大腸カメラ検査を行い、憩室からの出血を止めます。
憩室炎は、放っておくと、膿瘍(うみ)を形成したり、穿孔(腸の壁に穴があくこと)をきたすことがありますので、早期に治療を開始することが重要です。
また憩室出血は、時に大量に下血し、貧血や出血性ショックの状態になることがあります。
大腸カメラ検査で憩室を指摘されたことがある方や憩室炎、憩室出血の既往がある方で、腹痛や発熱、下血などの症状があるときは、すぐに消化器内科を受診するようにしてください。
また、憩室炎や憩室出血には再発のリスクがあります。
発症予防、再発予防のために、日頃から便通のコントロールを行いましょう。