好酸球性食道炎は、アレルギーを起こしたときに出現する白血球の一種である「好酸球」が、食道の粘膜に集まり慢性的に炎症をおこすことで起きる病気です。胃酸が食道に逆流する逆流性食道炎とは病態が異なります。
原因は明らかではありませんが、食物などに対するアレルギー反応が関係していると考えられ、気管支喘息などアレルギー疾患を合併する頻度も高いと言われています。
また、複数の研究で、ピロリ菌感染者では、好酸球性食道炎が少ないことが分かっており、ピロリ菌感染者の減少が、好酸球性食道炎が増加している原因の1つとも指摘されています。
もともとは、小児に発症する疾患と考えられていましたが、近年特に欧米において患者数が急増しています。日本でも、症状があり胃カメラ(内視鏡)検査を受けて見つかる方もいますが、検診の胃カメラ検査の際に偶然発見されることも多く、今後患者数が増える可能性があります。
好酸球性食道炎は無症状の方もいらっしゃいますが、慢性的な炎症が起こることで食道の動きが悪くなり、逆流性食道炎に類似した下記のような症状が出ます。
・胸やけ
・食べ物のつかえ感
・飲み込みにくさ
・胸部の痛み
また、長期間炎症が続くことで、食道が狭まってくる(狭窄)を来し食べ物の通過障害(食べられない、嘔吐してしまう)のような状態になることもあります。
診断には以下の2つが必須です。
1.食べ物のつかえ感や飲み込みにくさといった症状があること
2.胃カメラ検査での食道粘膜の生検(組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)にて好酸球の浸潤を認めること
治療は、
1.制酸薬
好酸球性食道炎の多くは、プロトンポンプ阻害薬(PPI)と呼ばれる胃酸の分泌を抑制する薬で良くなります。
2.ステロイド
制酸薬で症状の改善がみられない場合に、好酸球による炎症を抑えるためにステロイドを使用します。
喘息などの際に吸入する吸入用のステロイドの服用や、それでも効果がない場合にはステロイドの錠剤などを用います。
3.食事療法
好酸球性食道炎の原因となっている食物を特定できれば、その食物を除いた食事をとって頂くことで改善することがあります。
飲み薬による治療で症状が良くなっても、薬をやめてしばらくすると、症状が再び出てくることがしばしばあるため、慎重に経過をみていく必要があります。