大腸メラノーシス(色素沈着)

大腸カメラ検査を受けて、大腸の粘膜が黒く色素沈着していますね、と言われた方がいらっしゃるかもしれません。

それは、「大腸メラノーシス」と呼ばれ、本来ピンク色の大腸粘膜が、色素沈着により黒っぽくなった状態です。

センナ、漢方の大黄、アロエを含む刺激性の下剤を長期間服用することで生じます。

市販の下剤や健康食品、ダイエット食品の中にも含まれていることがありますので、注意が必要です。

刺激性下剤を長期間服用すると、下剤に対して耐性が生じ(はじめはよく効いたが、次第に下剤が効かなくなり)、大腸粘膜が傷害され、黒くなります。

皮膚の色素沈着は、メラニン色素が沈着することで生じますが、大腸メラノーシスはメラニンではなく、リポフスチンと呼ばれている物質が沈着することで生じます。

そのため、「偽メラノーシス」とも呼ばれています。

原因となっている薬剤を中止することで、1年程度で色素は消失し、従来のピンク色の粘膜に戻ると言われています。

すぐに刺激性下剤の服用を中止することが困難な場合もあると思いますが、なるべく長期の連用は避け、生活習慣の改善、腸に刺激を与えない下剤への変更、刺激性下剤はどうしてものときに使用、といった方法に切り替えていきましょう。

大腸メラノーシス自体は病気ではありませんが、便秘の原因として大腸がんが隠れていることもあります。

大腸カメラ検査を一度も受けたことがない方や、しばらく検査されていない方、便通の変化を感じられている方などは、まずは大腸そのものに問題がないか大腸カメラ検査で確認されることをお勧めします。

Author: ひろ消化器内科クリニック