潰瘍性大腸炎 5-ASA不耐症

5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤は、潰瘍性大腸炎(UC)治療における基本治療薬として非常に重要な薬剤です。

日本においてUCの方に使用できる5-ASA製剤は、サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)、メサラジン(ペンタサ、アサコール、リアルダ)の4種類です。

5-ASAは比較的副作用の少ない薬剤ですが、最近、副作用のため5-ASA製剤が服用できない患者さん(5-ASA不耐)が増加しています。

頻度は10%程度の方にみられると言われています。

服薬開始後1〜2週間して、腹痛や下痢の悪化、発熱などの症状が出現します。

UC自体が増悪しているような症状を呈することがあるため、見分けが難しいこともあります。

5-ASA不耐症では、いったん症状が良くなった後に急に症状が出現すること、服薬を中止することで症状が落ち着くこと、症状の割には内視鏡所見が比較的軽度であること、から疑います。

DLST(drug-induced lymphocyte stimulation:薬剤によるリンパ球刺激試験)は、薬剤アレルギー試験のひとつで、5-ASA不耐症の場合にも使用されることが多い検査です。

DLSTの結果をふまえ、5-ASA不耐の症状が軽度の場合には5-ASA製剤の変更を試みる場合もあります。また、同じ5-ASA製剤でも坐剤や注腸剤は問題ない場合もあります。

症状が重症の場合には、ステロイド、免疫調節剤(イムラン、アザニン、ロイケリン)、生物学的製剤などの治療薬を考慮します。

Author: ひろ消化器内科クリニック