薬剤性腸炎の中でも、「collagenous colitis」について簡単にお話ししたいと思います。
あまり聞きなれない疾患だと思いますが、当院でも今までに何名かいらっしゃいましたので、この疾患について簡単にみていきます。
collagenous colitis(CC)は、日本語では「膠原線維性大腸炎」と訳されます。
慢性の水様性下痢と大腸粘膜直下に膠原線維束を認める疾患で、主に生検組織で診断されます。
症状として、血便をきたさないことも特徴です。
中高年の女性に多くみられます。
原因は不明なことも多いですが、日本では薬剤性によるものが多く、プロトンポンプ阻害薬(PPI)や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの薬剤に関連して発症すると言われています。
その中でも、特にPPIのランソプラゾールによるものが非常に多いです。
内視鏡検査では、縦走潰瘍や縦走潰瘍瘢痕などの所見がみられることもありますが、正常なことも多いので、薬剤の服薬歴からこの疾患を疑った場合は、内視鏡所見が正常でも生検をして診断をしなければなりません。
治療としては、原因と考えられる薬剤を中止することでほとんどの方で下痢が軽快します。