便秘

新型コロナウイルス感染の拡大に伴う自粛の影響で、便通に変化をきたしている方が多くいらっしゃいます。

インターネット調査によると、42.4%の方が排便回数や便の状態に変化を感じています。排便回数や便の状態の変化で最も多いものは、「便の回数が減った」の56.0%、ついで「便秘になった」が43.3%だったと報告されています。

たしかに、普段診療をしていると、便秘になっている方が多いと感じています。

そもそも便秘とはどのような状態なのでしょうか?

2017年に日本で初めての慢性便秘症診療ガイドラインが発行され、その中で「便秘」は、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されました。

つまり、便の回数や量だけでは、便秘とは診断できないということです。

2016年度国民生活基礎調査によると、便秘の症状がある方の割合は、2〜5%程度と言われ、男性(2.5%)よりも女性(4.6%)に多い傾向を示しています。ここから推計すると、国内で便秘の症状を訴える方は450万人に上るとみられます。

便秘は、腸そのものの病変によって起こる「器質性便秘」と、そうではない「機能性便秘」に分類されます。

問診や診察から、大腸がんなどの器質性疾患が疑われる場合、あるいは50歳以上で過去3年以内に大腸カメラ(大腸内視鏡)検査を受けていない場合には、大腸カメラ検査を行い、器質性疾患がないかを確認します。

腸そのものに病変がみられない「機能性便秘」の場合には、薬による治療の前に、以下のことに気を付けましょう。

①適度な運動をする

運動は、腸の動きを活発にします。特に排便の際は、腹圧をかけるため、腹筋が大切です。お腹のマッサージ(「の」の字マッサージ)も効果的です。外からお腹のマッサージをすることで、腸に刺激を与え、便の流れが良くなります。腸は、正面からみた時、ひらがなの「の」の形で肛門につながっています。親指以外の4本の指で、おへその周りをゆっくりと「の」の字でマッサージしてみてください。30周ぐらいすると効果的です。

また、ウォーキングも血行が良くなり、腸の動きを活発にします。毎日30分程度のウォーキングを目指しましょう。

②規則正しい生活をする

毎日できるだけ同じ時間に寝て、同じ時間に起きるようにしましょう。睡眠不足などで生活リズムが不規則だと便秘になりがちです。睡眠時間は6時間以上、できれば7時間が理想です。

1日3食しっかりとるようにしましょう。特に、朝食の摂取は腸の運動を促し、排便反射につながります。

朝、起きた際にコップ一杯の水を飲むようにしましょう。腸が刺激されて、腸の運動が活発になります。

また、毎日時間を決めて一定時間トイレに入ることも有効です。「朝食後は必ずトイレに行く」というようにトイレ習慣を生活リズムに取り込むことも効果的です。

③食物繊維をしっかりとる

食物繊維は消化されにくく、便に水分を蓄えるのに役立つため、便の量を増加させ、排便しやすくします。食物繊維が少ないと、便の量が増加しにくく、腸の動きが低下します。

食物繊維の摂取目標量は、成人男性で1日20g以上、成人女性で1日18g以上です。

食物繊維が多く含まれている、ほうれん草、大根、芋類、きのこ類、豆類、果物を積極的にとりましょう。

極端なダイエットでも食物繊維の摂取量は減り、便秘の原因になります。

④トイレを我慢しない

便意を感じた時にトイレに行くようにしましょう。普段の生活の中で、便意を感じてもトイレに行けないこともあると思います。しかし、トイレに行くことを我慢していると、その状態に慣れて便意そのものがなくなってしまいます。便意を感じられなくなると、便が肛門あたりまできていても便が出せません。便意を感じたら我慢せずに出すように心がけましょう。

これらの生活習慣の見直しを行っても、便秘が改善しない場合には、薬の内服を行います。

便秘の治療薬には、大きく分けて「便を軟らかくする薬」と「腸に刺激を与える下剤」があります。

普段は「便を軟らかくする薬」を飲んで、便が出なくてつらい時だけ「腸に刺激を与える下剤」を飲むことをお勧めします。

もともと便秘がちな方、また今回の自粛の影響で便秘になっている方、多くいらっしゃると思います。便の具合でお困りの方は、消化器内科を受診して、相談してみてください。

Author: ひろ消化器内科クリニック