以前ブログに、逆流性食道炎の方が近年日本において増えていると書きました。
この逆流性食道炎と深い関わりがある「バレット食道」という病気をご存知でしょうか。
本来、食道の粘膜は「扁平上皮」、胃の粘膜は「円柱上皮」という粘膜に覆われています。
食道への胃酸の逆流を繰り返すことで、酸に弱い扁平上皮が、酸に強い円柱上皮に置き換わった状態を「バレット食道」と呼びます。
バレット食道そのものは、生命に大きく関わる状態ではありませんが、食道がん(食道腺がん;バレット食道がん)に対してリスクが高い状態であるため、注意深い経過観察が必要であると考えられています。
欧米では、逆流性食道炎の増加に引き続いて、バレット食道、バレット食道がんも急速に増加しています。
近年日本においても逆流性食道炎が増加しており、食生活の欧米化などに伴い今後バレット食道の増加が懸念されています。
バレット食道の方では、逆流性食道炎と同じように胸やけやげっぷなどの症状がみられることがありますが、症状が無いことも少なくありません。
バレット食道は、大きく2種類に分けられます。全周性に3センチメートル以上のものをLSBE(long segment Barrett esophagus)、バレット粘膜の一部が3センチメートル未満であるか、または非全周性のものをSSBE(short segment Barrett esophagus)と定めています。
日本ではSSBEの頻度が高く、LSBEはまれです。また、SSBEに比べてLSBEでは、より発がんリスクが高いと考えられています。
逆流性食道炎は、症状や問診からある程度診断することはできますが、バレット食道が発生しているかどうかを確認するためには、胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査が必要です。
バレット食道そのものに対する治療は、現時点では有効なものがなく、逆流性食道炎の症状を抑えるための治療を行います。
バレット食道になる前の逆流性食道炎の段階でしっかり治療を行うことが大切です。そうすることで、バレット食道を予防し、ひいてはバレット食道がんの予防につながります。
バレット食道と診断された場合には、定期的に胃カメラ検査を受けることが大切です。