慢性便秘症WEBセミナーin千葉②〜便秘の診断〜

①に引き続き、今回は便秘の分類、診断についてあったお話をまとめたいと思います。

慢性便秘の分類

原因がはっきりしていないもの

  • 便秘型IBS(過敏性腸症候群)

「腹痛」「腹部不快感」の症状を有する場合、便秘型IBSと診断。

  • 機能性便秘

原因がはっきりしているもの

  • 器質性便秘(消化器疾患)

瘢痕狭窄、腫瘍性狭窄

  • 症候性便秘(全身疾患)

神経:認知症、パーキンソン病

代謝:糖尿病

内分泌:甲状腺機能低下症

  • 薬剤性便秘

抗うつ薬、オピオイド、抗ヒスタミン薬

機能性便秘の診断基準(Rome Ⅳ)

6ヵ月以上前から症状があり、最近3ヵ月間は下記3項目の基準を満たしている

1.以下の症状の2つ以上がある

a.排便の25%にいきみがある

b.排便の25%に兎糞状便又は硬便がある

c.排便の25%に残便感がある

d.排便の25%に直腸肛門の閉塞感あるいはつまった感じがある

e.排便の25%に用手的に排便促進の対応をしている(摘便、骨盤底圧迫など)

f.排便回数が週に3回未満

2.下剤を使わない時に軟便になることは稀

3.過敏性腸症候群(IBS)の診断基準を満たさない

過敏性腸症候群(IBS)の診断基準(Rome Ⅳ)

下記の2項目以上を伴う繰り返す腹痛が、最近の3ヵ月において、平均少なくとも週に1回以上認める。

1.排便と症状が関連する。(排便をすると症状が軽減するなど)

2.排便頻度の変化を伴う。(トイレに通う頻度に増減がある)

3.便の形状の変化と関連する。(便の形状や硬さが変わる)

6ヵ月前から症状が出現し、最近3ヵ月は上記の基準を満たす必要がある。

便秘の警告徴候(大腸カメラ等の精密検査を要する場合)

  • 最近発症した便通異常
  • 体重減少
  • 大腸がんの家族歴
  • 直腸出血
  • 50歳以上

これらに当てはまる場合で、大腸カメラ検査をされたことがない方や前回検査をしてからかなり期間があいている方などは、大腸カメラ等の精密検査で器質的疾患(大腸癌など)がないかを確認します。

慢性便秘のスクリーニング検査

1.腹部単純X線検査:立位、臥位→腸閉塞の疑い

2.血液検査:貧血、炎症反応、甲状腺機能等の確認→貧血、腹膜炎、甲状腺機能低下症疑い

3.尿検査

4.便潜血検査(2回法):陽性の場合は大腸カメラ→大腸癌の疑い

5.便培養検査→細菌性腸炎の疑い

過敏性腸症候群(IBS)の診断、治療を行う上で大切なのは、「脳腸相関」〜胃腸は心の鏡〜言われるように、ストレスを感じると、胃腸の症状を来しやすいということです。

胃腸の症状でお困りのことがありましたら、お近くの消化器内科でご相談ください。

Author: ひろ消化器内科クリニック