①②に引き続き、最後は治療についてあったお話をまとめます。
まず、排便の姿勢について、前かがみになり、足先は床につけてかかとを少し上げます。すると、直腸と肛門の角度が開き、排便しやすいと言われています。
便秘治療の基本は、①食事、②運動、③生活習慣です。
①食生活の改善
- 毎日十分な食物繊維、水分、油分を摂る
- 乳酸菌やオリゴ糖などを積極的に摂取する
②適度な運動
- できるだけ歩く
- 腹筋を鍛える
- 腹部マッサージ
③規則的な生活
- 毎朝、食後に規則的に排便する
- ストレスを溜めない
- リラックスする
薬物療法:便秘治療薬(下剤)
内服による治療
1)プロバイオティクス
2)膨張性下剤
カルメロースナトリウム(バルコーゼ)、ポリガルボフィルカルシウム(コロネル、ポリフル)
3)浸透圧性下剤
塩類下剤:酸化マグネシウム、ポリエチレングリコール(モビコール)
糖類下剤:D-ソルビトール、ラクツロース(ラグノスNF経口ゼリー)
4)刺激性下剤
アントラキノン系:センナ、ダイオウ、センノシドA・B(プルゼニド)
ジフェニール系:ピコスルファートナトリウム系(ラキソベロン)
5)上皮機能変容薬
ルビプロストン(アミティーザ)、リナクロチド(リンゼス)、エロビキシバット(グーフィス)
6)消化管運動賦活薬
モサプリド(ガスモチン)
7)漢方薬
大黄甘草湯、麻子仁丸、大建中湯
その他の便秘の治療
①坐薬
1)レジカルボン
2)テレミンソフト
②浣腸薬
1)GE
2)SE
③摘便
④バウエルマッサージ
⑤手術:人工肛門、右半結腸切除術、全結腸切除術
便秘薬に期待される効果
水分を加える治療(浸透圧性下剤、分泌性下剤)
- 酸化マグネシウム
- アミティーザ
- リンゼス
- モビコール
- ラグノスNF経口ゼリー
大腸を動かす治療
- 刺激性下剤(センナ、ラキソベロン)、漢方薬
どちらの作用も有する
- グーフィス
慢性便秘症治療のポイント
薬物療法を効果的に行うには、症状に応じた薬剤の使い分けとさじ加減が重要!
セミナーでのお話はここまででした。
受講した感想としては、便秘症に悩まされている患者さんは年々増えてきており、従来からある便秘薬に加えて、比較的新しい薬がいくつか出てきています。
どの薬が第一選択という決まりはなく、患者さんの症状を詳しく伺い、生活面での改善を行った上で、治療薬を適切に使い分けることが大切だと感じました。
便通の変化・不調など、お困りの症状があれば、お近くの消化器内科でご相談ください。