①痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)
痔核は、できる場所によって内痔核と外痔核に分けられます。
特に、肛門内部にいぼができる内痔核は出血することが多く、痛みを伴わないことが特徴です。
「おしりを拭いたときにトイレットペーパーに血が付く」
「排便後に血がポタポタと垂れる」
「痛くはないが、便器が真っ赤になるくらい出血することがある」
このような症状の訴えがあれば内痔核からの出血を疑います。
これに対して、裂肛は痛みを伴うことが特徴で、出血量自体はそれほど多くありません。
便の出が悪かったり、便が硬いと、いきんでおしりに傷をつけてしまうことがあります。
「排便時にお尻が痛くて、トイレットペーパーに血が付いた」
このような訴えの場合は裂肛を疑います。
②感染性腸炎
感染性腸炎には、大きく分けて「ウイルス性腸炎」と「細菌性腸炎」があります。
腹痛、下痢、嘔吐といった症状がみられますが、細菌性の場合には血便がみられることがあります。
③潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は、腸の粘膜に慢性的に炎症を起こす疾患で、腹痛や下痢、血便を認めます。
免疫系の異常で起きると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっておらず国から難病に指定されています。
④虚血性腸炎
虚血性腸炎は、大腸に栄養を送っている血管に一時的に血流がいかなくなることで起こります。
突然腹痛が生じ、その後に下痢、血便がみられます。特徴としては冷や汗をかくような経験したことのないような腹痛を突然認めます。ほとんどの場合は経過は良好です。
⑤大腸憩室出血
大腸憩室とは、腸の壁が薄くなってポコッとくぼんでいる状態のことです。薄くなった壁に圧がかかると出血することがあり、それを大腸憩室出血と言います。
自然に出血が止まることもありますが、大量に出血する場合もあります。
⑥大腸ポリープ
大腸ポリープとは、大腸の粘膜の一部がイボのように盛り上がってできた「できもの」です。
ポリープにはいくつか種類がありますが、出血をきたすようなポリープも存在します。
⑦大腸がん
大腸がんが進行すると、血便が出たり、便秘や下痢といった便通の異常を認めたり、便が細くなったりすることがあります。
早期の大腸がんの場合には症状を自覚することはほとんどありませんが、早期の段階で治療を行えば高い確率で完全に治すことができます。
大腸がんは40歳を超えると増えると言われており、40歳以上の方は定期的に大腸カメラを受けることをおすすめします。
赤い便が出た場合には、消化器内科を受診するようにしてください。